新規事業の相談を受けるとき、すでに事業計画書が完成していることがあります。しかし、その計画書の前提となる市場調査が、インターネット検索だけで作られていることも少なくありません。アイデアは面白い。しかし、誰が買うのか、いくらで買うのか、なぜ自分たちが提供できるのかが確認されていない。この3つを最初に問うことが、新規事業検討の出発点です。

「誰が買うか」を具体的な一人に絞る

「30代の働く女性」「中小企業の経営者」といったターゲット設定は、実際には誰も指していません。具体的な一人を想定することが必要です。「東京都内で従業員20名の製造業を経営している、52歳の男性。毎朝7時に出社し、採用と後継者問題に頭を悩ませている」。ここまで具体的にすると、その人が何に困っていて、何にお金を払うかが見えてきます。この作業を飛ばして市場規模の計算をしても、数字に根拠が生まれません。

「いくらで買うか」は聞いてみないとわからない

価格設定は、コスト積み上げだけで決めるものではありません。顧客が「これなら払える」と感じる金額は、実際に聞いてみないとわかりません。想定顧客に近い人を5〜10人見つけて、「こういうサービスがあったとしたら、いくらなら使いますか?」と直接聞くことが最も確実です。この調査を、事業計画書を書く前にやるかどうかで、計画の精度が大きく変わります。

「なぜ自分たちか」を正直に問う

新規事業の計画書には、競合との差別化が書かれていることが多いです。しかし「なぜ自分たちがこれをやるのか」という問いは、差別化とは別の問いです。自社がこの事業を手がける理由が、既存の強みや資産と結びついているか。それとも、単に「市場が大きそうだから」という理由だけか。後者の場合、参入後に強みを持つ競合に押し出されるリスクが高くなります。現場で使える実務ツールの新規事業検討テンプレートでは、この問いを財務シミュレーションと並べて確認できる構成にしています。

小さく試してから計画を書く

事業計画書を完成させてから動き出すのではなく、小さく試してから計画を書く順序を勧めています。試すとは、最小限の形でサービスを提供してみることです。無料でも、手作業でも構いません。一人の顧客に届けてみて、何が起きるかを観察する。その観察が、計画書の精度を上げます。「試してから計画する」という順序は、多くの会社にとって逆に感じるかもしれませんが、この順序の方が失敗のコストが小さくなります。

新規事業の検討は、アイデアの良し悪しより、検証の質で決まります。一緒に考えたい方は、まずは話してみるページからご連絡ください。初回60分は無料です。